こんにちは!リリーです。
「イヤイヤ期」や「やりたくない期」に悪戦苦闘した日々。
仕事・家事・子育ての合間に、時間をどう確保するか悩んだこと。
そして、保育園の”ドレミ体操”との闘いなど――
決して順風満帆ではなかったけれど、だからこそ伝えたいことが、たくさん詰まっています。
迷ったり、悩んだり、つまずいたり、笑ったり…。
そんな毎日の積み重ねと、試行錯誤してきた小さな工夫たちを、ぎゅっと込めました。
もし今、「やってみようかな」と思っている方や、「なんだかうまくいかないな…」と感じている方がいたら――
この記録が、そっと背中を押せたらうれしいです◎
はじめに|江口式との出会いと一音会リトミック

子どものための「絶対音感トレーニング」、気になっているけれど―――
「大変そうだけど実際どんな感じなのかな?」
「ちゃんと続けられるかな…?」
「何歳から始めればいいんだろう?」
「教室に通うのとドクターPの違いはなんだろう?」
私は、始める前からもう気になることだらけで、江口先生の本を片っ端から読みあさって、ネットの記事も読み漁って…
とにかく情報をかき集めていました。
でも、いくら探しても、実際にやっている人のリアルな声って、意外と少ない。
まわりにやっている人もいないし…。
「もうこれは、自分の目で確かめるしかない!!」
そう思った私は、江口式絶対音感プログラムを開発した教室【一音会】へ見学しに行くことにしました。
とはいえ、当時サラはまだ0歳。
絶対音感のレッスンを受ける年齢には早すぎたので、まずは0歳から参加できるリトミックの体験に行ってみることにしました。
もともと江口先生の著書を通して、その教育理念や子どもへの深い愛情や情熱に感銘を受けていた私にとって、リトミックもずっと気になっていたプログラムでした。
ただ、わが家から一音会の教室までは片道2時間半。正直ためらう気持ちもありましたが、「とりあえず見てみないと何も始まらない!」と、思い切って体験へ。
実際にリトミックのレッスンに参加してみると、内容は想像以上!!
決まったカリキュラムをこなすのではなく、その場にいる子どもたちの表情や動きに合わせて柔軟に進めていく先生。
いくつかのリトミック教室を見学した経験がありましたが、ここまで子どもたちに寄り添ったレッスンは初めてでした。
そしてもちろん、音源ではなくグランドピアノの生音が響く空間。
そのあたたかさと丁寧さに触れて、私は迷わずその場で、一音会への入会を決めました。
このときサラは、ちょうど1歳の誕生日を迎える月。
まだ小さな身体で、周りのお友達に混じりながらも、しっかりレッスンに参加していて、ピアノの音に合わせて嬉しそうに体を揺らしていたのをよく覚えています。
こうしてリトミックで音感やリズム感の土台をじっくり育てたあと、サラが2歳6ヶ月になったタイミングで、いよいよ絶対音感トレーニングをスタート。
教室の雰囲気には慣れていたものの、やっぱり「ちゃんとできるかな…」という不安はありました。
1ヶ月目|2歳6ヶ月でトレーニング開始!びっくりするほど順調なスタート
最初に出てきたのは赤(どみそ)の旗。
ピアノの音が聞こえると、ちっちゃな手で旗を持って「あかー!」と元気よく答えるサラ。
その姿がもう、かわいくてかわいくて…。(親バカです笑)
赤の次は、黄色、青…と順調に旗が追加されていき、ちゃんと正解するものだから、さらに親バカが爆発してしまって、「えっ、この子天才じゃん!」なんて、思っていました。(笑)
週1回の通室では、先生に「今週もバッチリですね!」「次の旗いきましょう!」と言われるたび、内心ではガッツポーズ!!
おけいこもイヤがることなく、むしろ「おけいこしよっか!」と言うと、「いぇーい!」とノリノリで言ってくれることもあって、完全に“いい感じ”の滑り出しでした。
このままトントン拍子に14和音まで行っちゃったりして…なんて、軽く妄想していたあの頃の私に伝えたい。
「そんなに甘くはないよ。けど、その最初の余裕こそが、のちの心の支えになるからね!」 と。(笑)
↓3ヶ月目(2歳8ヶ月)の様子
3ヶ月目|青のつまずきと“おやすみ”作戦
青の次に登場したのが、「黒」の旗。
このあたりから、わが家の快進撃に少しずつブレーキがかかり始めました。
青と黒の音がなんとなく似て聞こえるのか、サラの中で混乱が起きてしまい、
「これは?」と聞くと、「…あお?」「くろ?」と迷いながら答える日々。
正解できる日もあったけれど、間違いが続くとやっぱりテンションが下がる。
そして、「おけいこ」がなんとなく楽しくないものに…
青の固め弾きを取り入れて、約2ヶ月。
毎日5回、赤・黄・青・黒とがんばって続けていたけれど――
どうしても、青だけが定着しなかったんです。
そんなとき、先生からこんな提案がありました。
「青をいったん“おやすみ”しましょう」
…え?飛ばしてもいいの?
最初はちょっと戸惑ったけれど、「いったん青は忘れて、次の色で気分転換しましょう」というアドバイスに、
「そういうやり方もあるんだ」と、目からウロコ。
それまで私は、「旗は順番通りにやるもの」って思い込んでいたから、
苦手な旗をあえて飛ばすなんて、ちょっと勇気がいりました。
でも、やってみたら――サラの表情がパッと明るくなったんです!
青をおやすみしてからは、緑、オレンジ…とどんどん旗が追加されていって、
「これならできる!」って気持ちが戻ってきたのか、
また楽しそうにおけいこに向かってくれるようになりました。
不思議なことに、青がなくても本人は全然気にしていなくて。
むしろ、新しい旗がどんどん増えていくことのほうにワクワクしている感じ。
きっと心のどこかで、「青ってちょっと難しいやつだよね」って、自分でもわかっていたのかもしれません。
5ヶ月目|保育園のドレミ体操とお迎え作戦
江口式には、いくつかの“禁忌事項”があります。
そのひとつが、
「14和音を達成するまでは音階(ドレミ)で歌ってはいけない」
というルールです。
――実はわが家、この“禁忌”にかなり悩まされました。
というのも、サラが通っていた保育園は、音楽に力を入れている園で、
2歳児クラスから、毎日お昼ごはんの前にドレミで歌う時間があったんです。
それを知ったのは、クラスが変わる直前のタイミング。
「えっ……これ、マズいやつでは?」
頭の中が一気に真っ白になりました。
でも、保育園を変えるなんて現実的じゃない。
「その時間だけ別の部屋にお願いします」なんて言えるはずもなく…。
どうしたらいいのか、毎日考え続けました。
悩んで悩んで、最終的にたどりついたのが――
「その時間が始まる前に、お迎えに行く」という強硬手段。
そこから始まった、怒涛の“早迎え”生活。
旗の進み具合で言えば、ちょうど緑あたりのころでした。
私はシングルマザーなので、もちろん仕事もしています。
毎日、家のこととや子育て、仕事を同時にまわすだけでも手一杯。
それでも、「今だけは全力でやってみよう」と決めていたんです。
幸い、フレックス制度のある会社で営業職だったので、午前中に打ち合わせやアポイントを集中させ、午後はお迎えに行ってから自宅でリモートに切り替える。
そんなスケジュールでなんとか乗り切っていました。
ただ、仕事をこうして調整できるのは、年内が限度。
「残された時間は9ヶ月。年内に14和音、絶対終わらせる!」
そう決めて、気合いだけで走っていました。
正直、本当に大変でした。
でも――
「今ここを乗り越えたら、絶対音感がつくかもしれない」
そう信じて、がむしゃらに走っていた気がします。
7ヶ月目|イヤイヤ期と工夫の日々
青をおやすみしてから、旗の進みは驚くほどスムーズに!
緑、茶色、紫…と次々に増えていきました。
「これはできる!」という気持ちが戻ってきたのか、サラは毎日、楽しそうにおけいこに向かってくれていました。
でも、そんな“順調モード”が続いたのは、ほんの少しの間だけ。
ある日を境に、サラのやる気スイッチがぷつんと消えました。
ちょうど絶対音感トレーニングを始めて6ヶ月。
サラが3歳になったころのことです。
ママ「おけいこしようか」
サラ「やだー」
〜〜ちょっと経ってから〜〜
ママ「おけいこしようか」
サラ「……(聞こえないふり)」
〜〜ちょっと経ってから〜〜
ママ「おけいこしようか」
サラ ふてくされる
いわゆる、“練習したくない期”のはじまりでした。
思えば、赤や黄色のころは、好奇心で前のめりに取り組んでいて、「おけいこしようか」と言えば、自分から旗を取りに行っていました。
けれど、旗の数が増えて難しくなってきたのか、それとも、ちょうどイヤイヤ期が重なったのか――
あるときから「旗=やりたくないもの」になってしまったようで。
最初は「ちゃんとやろう!」と声をかけていたのですが、だんだん、それすら逆効果になってしまって…。
このままじゃ続けられない・・・
でも、やめるわけにもいかない。
そこで私は、思い切って旗を使わないスタイルに切り替えました。
最初に取り入れたのは、「体を使って楽しむ方法」。
旗の色に合わせた色画用紙をラミネートして、家のいろんな場所にペタペタ貼りつけます。
おうちPから音を鳴らして、「音が鳴ったらタッチしてね」と声かけ。
サラは音が鳴るたびに家中を走り回って、タッチして、ジャンプして、笑って。
まるで旗のおけいこが、運動遊びに変わったような毎日でした。
さらに、旗の色に合わせたブロックや指人形を箱に入れて、「この音の色を探してみてね」と色探しゲームに。
ぬいぐるみに答えさせて、「当たり〜!」と盛り上げたりもしました。
“おけいこ”ではなく、“遊び”として続けること。
それが、この時期のわが家のキーワードでした。
正解でも不正解でも関係ない。
とにかく毎日、「音を聞いて、色と結びつける」ことだけは欠かしませんでした。
きっとこの時期が、「おけいこが習慣になるか、それとも止まってしまうか」その分かれ道だった気がします。
親としても、毎日が試行錯誤の“おけいこ大作戦”。
それでも続けられたのは、「絶対音感を身につけさせてあげたい」
その思いだけは、ぶれなかったからだと思います。
9ヶ月目|肌色?藤色?色の名前が覚えられない期
旗の枚数が10枚を超えたころ。
サラはすっかり音と色のペアに慣れてきて、テンポよく答えられることも増えてきました。
けれど、そんな中でひとつ、新たな壁がやってきました。
それが――色の名前が覚えられない問題。
特に苦戦したのが、肌色と藤色です。
色そのものは見分けられているのに、いざ名前を聞かれると、「んー…なんだっけ?」と迷ってしまう。
見た目の印象は頭に入っているのに、名前だけがスッと出てこない。
そんなモヤモヤするような状態が、しばらく続いていました。
そこで私は、“とにかく日常の中で藤色に出会う作戦”を決行。
藤色の服や小物をあれこれと買い足して、ワンピースにTシャツ、靴下、ハンカチやヘアゴムまで…
気づけば家の中がじわじわと藤色に染まっていきました。笑
それと同時に取り入れたのが色あそび。
肌色や藤色の色画用紙を使って、ちぎり絵をしてみたり、同じ色の色鉛筆を用意して、「この色でぬりえしよう」と誘ってみたり。
遊びの中で、色の名前に親しむ時間を少しずつ増やしていきました。
さらに、旗の代わりにブロックやぬいぐるみを使って、「この音の色はどれかな?」と探す遊びも追加。
ぬいぐるみに答えさせて、「当たり〜!」と盛り上がる日もありました。
色 → 音 → 名前
この3ステップの結びつけは、大人が思う以上に難しかったみたいです。
それでも、毎日ちょっとずつ、遊びながら。
「覚えさせる」じゃなくて、「親しませる」つもりで、ゆっくりペースを整えていきました。
気がつけば、「これは肌色!」「これは…ふじいろ!」と、少しずつ、でも確実に言えるようになってきたサラ。
その瞬間のうれしそうな顔が、今でも忘れられません。
色の名前が覚えられない時期――
それは、音感ではなく“ことばの世界”との小さなぶつかり合いだったのかもしれません。
↓9ヶ月目(3歳2ヶ月)の様子
12ヶ月目|青リベンジとドレミ体操の闘い。そして14ヶ月目の達成!!
絶対音感トレーニングを始めてから12ヶ月目。ちょうど1年が経ったころです。
いよいよ、14和音目――青が、ふたたび登場しました。
この青は、最初の2ヶ月目で一度挑戦して、うまくいかなかった音です。
だから今回は、いわば“青リベンジ”。
青を「おやすみ」してから、ずいぶんいろんな経験をしてきたサラ。
今度こそ乗り越えられるか――そんな想いを胸に、再スタートを切りました。
けれど、その矢先に待っていたのは、思わぬ混乱でした。
ちょうど同じタイミングで、引っ越しが重なって、おけいこの回数が思うように取れない日が続きました。
1日5回のおけいこが理想だったけれど、このころは1日3回が精一杯。
1〜2回だけになってしまった日も、ちらほらありました。
そんな中で、少しずつほころびが出てきます。
青と黒、藤色と水色、茶色と肌色――
サラの中で、似た音が混ざる“プチ混乱期”に突入。
音を聞いても、あれ?どっちだっけ…?と迷うことが増えました。
そして年が明けて、2025年1月。
絶対音感トレーニングを始めて、14ヶ月目に入りました。
サラはこのとき、3歳7ヶ月。
この月から、保育園ではついに「ドレミ時間」が始まります。
わが家にとっての、禁忌事項が解禁されてしまうタイムリミット。
これまでは、その時間が始まる前に毎日お迎えに行っていたけれど、仕事の都合で、どうしても続けることができなくなってしまったのです。
このままじゃ、せっかく育ててきた音感が崩れてしまうかもしれない。
そう感じて、私は1日6回おけいこを決行。
もう“できる範囲で”ではなく、“できる限り”の対策へと切り替えました。
そんなふうにして、なんとか乗り切った1月。
サラはついに、14和音をすべて聞き分けられるようになりました。
長かったようで、あっという間だった14ヶ月。
何度もつまずいて、何度も工夫して、少しずつ前へ。
青のリベンジとともに、サラはようやく音の階段を登りきったのです。
↓14ヶ月目(3歳7ヶ月)の様子
15ヶ月目|和音読みスタート!「赤、ドミソ!」の世界へ
14和音をすべて聞き分けられるようになって、サラのトレーニングは次のステージへ進みました。
それが――「和音読み」です。
これまでは「赤!」「黄色!」と、色の名前で答えてきました。
でもここからは、「ドミソ」「ドファラ」といった音名で答える練習に。
とはいえ、すぐに色を手放すわけではありません。
最初は、色名と音名をセットで言う練習からスタート。
「赤、ドミソ!」
「黄色、ドファラ!」
そんなふうに、色の安心感を残しながら、
少しずつ、音の世界にシフトしていくような感覚でした。
新しい音名は、1週間に1色ずつのペースで追加していきました。
というのも、わが家ではこれまで「ドレミ」という言葉自体を避けてきたんです。
サラは3歳からピアノを始めていましたが、絶対音感トレーニングに悪影響が出ないように、一音会では「ど」は“どんぐりのど”、“れ”は“レモンのれ”といった絵音符を使って教えています。
そのため、赤は「ドミソ」、黄色は「ドファラ」といった音名を、色ごとにまったく新しい言葉として覚える必要があったんです。
ちなみに黒鍵は、チス(ド♯)、フィス(ファ♯)、ギス(ソ♯)、エス(ミ♭)、ベー(シ♭)という呼び方。(ドイツ音名)
ちょっと、暗号みたいでしょ?笑
↓(一音会)江口式絶対音感トレーニング 色の種類と順番

そして私は、焦って進めて混乱を起こすことだけは絶対に避けたいと思っていました。
だからこそ、少し慎重すぎるかな?と感じるくらいに、ひとつひとつの音名を、ていねいに積み上げるように進めていきました。
少しずつ、「赤、ドミソ!」「茶色、ファラド!」と、サラの口から音名が自然に出るようになっていくたびに、私は心の中で、何度も小さくガッツポーズをしていました。
音名だけで答える世界は、もう、すぐそこ。
サラはまだ色に頼りながらも、新しい言葉の世界に少しずつ踏み出していました。
その姿に、「またひとつ階段をのぼったな」としみじみ感じていました。
そしてこれから、いよいよ“単音分化”のEステージに入っていきます。
色と音名がしっかり結びついたその先には、和音を1音ずつ分けて聞き取るという、さらなるチャレンジが待っているのです!
↓(一音会)江口式絶対音感トレーニング 絶対音感習得までのステージ

そして、ここまで守ってきた“禁忌事項”――
ドレミで歌うことや、鍵盤の音名を伝えることも、この段階からはむしろ積極的に取り入れるべきことに変わっていきます。
音の世界が、ぐっと広がっていく予感。
わが家のトレーニングも、またひとつ新しいステージへ進もうとしています。
おわりに
こうして振り返ってみると、あっという間だったような、でもやっぱり、ひと月ひと月が濃密で、かけがえのない時間でした。
旗が1枚ずつ増えるたびに、喜んだり、つまずいたり、イヤイヤ期や引っ越しでの中断もありながら、サラは少しずつ、でも確かに前に進んでいきました。
14和音の達成は、「ゴール」ではなく「区切り」です。
ここから先も、単音分化や音名定着、そして音楽の楽しさに触れる時間が続いていきます。
でも、「色で音を聞き分ける力」を、一緒に積み上げてこられたこと――
これは、きっとこの先の音楽人生の土台になる。
そう信じています。
正直に言うと、私自身はまだ、「やってよかった」と言いきれるほどの実感はありません。
まだ途中だから。
これがどう育っていくのか、今はまだわからないから。
でもひとつだけ、はっきり言えるのは――
「この14ヶ月間、サラと向き合ってきた時間に、後悔はない。」
ということです。
絶対音感トレーニングは、派手な達成感よりも、静かに積み重なっていく小さな手ごたえの連続。
それを信じて、今日もまた1回、おけいこする。
そんな日々を、これからもていねいに続けていきたいと思っています。
ここまで読んでくださったあなたにも、この記録が、何か小さなヒントや励ましになりますように。